乳腺症
乳腺症は乳房の痛みや、痛みを伴うしこり、張り、乳頭からの異常分泌などを主訴とする良性の変化の総称です。響きが乳腺炎と似ているため混同されることがありますが、まったく違う病態です。専門的には「乳腺の増殖性変化(乳腺組織が増えること)と退行性変化(のう胞や石灰化などの良性変化)が共存する状態」とされ、最近では病気ではなく正常から逸脱したもの、と考えられています。若年の方は女性ホルモンの分泌が活発なため症状がでやすいですし、更年期の方もホルモンバランスの乱れから痛みなどの症状が増悪することがあります。病気ではないため、診断された場合特に治療はありません。ただし、一部の乳腺症の画像所見は乳癌と鑑別が難しいことがあり、針生検などの精密検査や定期的な経過観察が必要になることがあります。