乳がん術後のリンパ浮腫で気をつけること
乳がんの治療で腋窩手術(リンパ節郭清、センチネルリンパ節生検)、放射線治療、化学療法などをうけられた患者さんで、手術側の上肢にリンパ浮腫が発症することがあります。これまで手術側上肢の採血や血圧測定などがリンパ浮腫発症に関係している可能性もあり、慣習的に禁止されている医療機関もありました。
2024年にリンパ浮腫診療ガイドラインが改訂され、以下が明記されました。
採血 | 大きな関連なし |
点滴 | 関連が低いとされるが、証拠不十分 |
血圧測定 | 大きな関連なし |
空旅 | 上肢:大きな関連なし 下肢:証拠不十分 |
感染 | ほぼ確実 |
高温環境 | 証拠不十分 |
日焼け | 証拠不十分 |
(リンパ浮腫診療ガイドライン2024年版)
補足
- 乾燥により皮膚のバリア機能が低下すると、感染のリスクがあがります。手術側の感染予防のために保湿を心がけましょう。ケガに気を付け、手指は清潔な状態を保ちましょう。
- 上肢ではサウナ以外、暑い日の激しい運動、日焼け、熱い風呂への入浴はリンパ浮腫に関係ないという報告がありますが、少数例での報告であり、証拠不十分となっています。