小児の疾患
風邪症候群
ウイルスが鼻やのどに感染することによって。熱・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳の症状がでます。
ウイルスは人から人に伝染し、免疫ができることで治ります(抗生物質は効果がありません)。
免疫ができるまでの4~5日は症状があるので、それまでは症状を抑える薬をお出しします。
なかなか治らない場合はこじらせていないかを確かめる検査をします(こじらせることを"二次感染"ともいいます)。
咽頭炎
発熱とのどの痛みがでます。原因はウイルスのこともあるし、溶連菌というばい菌の場合もあります。
ウイルスの場合は風邪薬のみで治療しますが、溶連菌の場合は抗生物質での治療が必要なので、喉が腫れている場合はのどの検査をして確かめます。
高熱が4~5日続くとごはん食べられなくなったり、ミルクが飲めずに脱水症になることもあります。
中耳炎
鼻のウイルスやばい菌が"耳管"という管を通って耳の奥に入りこむことでなります。
3歳以下のこどもは耳菅が短いので、風邪が長引くと中耳炎になることがあります。
4~5歳をすぎるとほとんどならなくなります。
耳の奥にはお薬が届きにくいので抗生物質を長めにのんで治します。
ひどい場合は耳鼻科の先生に"鼓膜切開"という処置をしてもらうこともあります。
気管支炎・肺炎
原因も症状も風邪と同じで熱・咳・鼻水ですが、ウイルスやばい菌が体の深いところにある気管支や肺にまで入っている状態です。
気管支や肺は目で見えないので聴診やレントゲンで確かめます。
予防接種で予防するインフルエンザ桿菌や肺炎球菌が原因となることもあれば、予防接種のないRSウイルスやヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマが原因となることもあります。
抗生物質が必要だったり、入院で治療をすることもあります。
感染性胃腸炎
ウイルスやばい菌が胃や腸に入って、熱・腹痛・嘔吐・下痢を起こします。
風邪と同じように人から人に伝染しますが、咳や鼻水のように見た目でわからないことが多いので知らず知らずのうちに伝染します。
胃腸炎を治す特別な薬はないため、吐き気止めや整腸薬で脱水症にならないように少しずつ治ってくるのを待ちます。
胃腸炎に似た症状の病気に"腸重積"や"虫垂炎(いわゆる盲腸)"という大きな病気があるのでその見極めが重要です。
アトピー性皮膚炎
少しくらいの湿疹ならほとんどのこどもにありますが、その中で半年以上続いて治りにくくなった湿疹をアトピー性皮膚炎と言います(赤ちゃんの場合は2か月以上でアトピー性皮膚炎と診断することもあります)。
自然には治りにくい状態になっているのでステロイドや保湿の薬を使いながら、じっくり根気よく治療します。
大人になるまで持ち越さないようにこどもの早いうちに治しておくことが目標です。
気管支喘息
咳は風邪と似ていますが、ウイルスやばい菌が原因ではないので熱や鼻水はありません。
気管支がダニやホコリなどの異物の刺激で狭くなり、とても苦しそうな呼吸をします。
原因はダニやホコリなどに対するアレルギーなので、アレルギー検査で確かめます。
症状の強さは視診や聴診で判断します。
喘息のなりやすさによって、喘息発作を繰り返さないようにする飲み薬や吸入の薬を普段から使うようにしてみていきます。