テープのおくすり
院長です。
たまたま「湿布薬なんて使ってるの、日本人だけやで…」ということを聞きました。
湿布薬の多くは鎮痛薬として高齢の方に対して内科や整形外科が使用していることが多いので、小児科の自分はそれほどの処方機会はなく、他人事のように「へぇ、そうですか…」なんて反応をしていました。
理由を聞くと、日本人は昔から「御札」や「お守り」の文化があって抵抗がない、というかむしろ好きだからであり、その一方、欧米ではあまり貼り薬は信用されていないし、そもそもエビデンスも不足しているから使用されないとのこと。
そういえば「御札」や「お守り」みたいに小児科医がよく使うテープのおくすりがある…。
というわけで、急に我がことになり、気になって”tulobterol patch”でpubmedを調べてみました。
すると、60件程度の論文がヒットして、ほぼ100%が日本の論文で、2-3本の中国や韓国の論文があるだけで欧米からでた論文は皆無…。なんというガラパゴス状態。商品名はホクナリンテープといって、北陸で作られたアドレナリンの薬だからホクナリンというそうです。日本発の薬なんですね。
欧米の合理主義の人たちから考えたら「気管や肺で病気が起こってるんやから、そら吸入薬に決まってるやろ?」と受け入れにくいのかもしれません。
ほぼ日本人しか出していないとはいえ、一応、エビデンスを示す論文はあって、実際に「あのテープを貼れば咳がなくなるんです」というお母さんも一定数いるので、今までやってきたことは間違ってはいないんだとは思いますが、ここまでの”日本だけ”みたいなパターンは衝撃的で、日々、エビデンスを求めてpubmedをサーフィンしている自分としては少し不安になる体験でした。
ネブライザーは高価だし故障もあるので特にはすすめていないけど、吸入スペーサーだったら2000円程度みたいなので、そっちの方がいいのかもしれませんね。
