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ピグマリオン効果とゴーレム効果

[2025.11.07]

院長です。

最近も引き続き休診日を使って発達症の専門病院に勉強しにいっています。

医師の診療スタイルや児の診断・障害の程度にもよりますが、診療の流れとしては、初診から2-3回目の診察は”準備”という感じです。パッとみて「この子は自閉症だな」と思えたとしても、一発診断は禁物で、親と医師、子どもと医師の関係構築も含めて1か月おきに2-3回かけてじっくり進めます。

初回は心の問題だけと決めつけず、身体的問題をしっかり鑑別する。頭痛、腹痛、便通異常、睡眠障害など、問題に応じて血液検査や理学検査、画像検査を行う。希望や判断によって発達検査を計画する。身体疾患を見逃してはいけません。

2回目はその子の”過去”である生育歴、”現在”の困りごとを整理することと、初回で行った検査の結果を説明する。身体疾患を除外、または併存を認識した上で現状を確認します。

3回目以降は近況や、初回・2回目のあとの養育者の解釈や行動の変化も確認しながら、治療や必要なこと、場合によっては手続き的な話を進めていきます。投薬がある場合は3か月おき、安定していれば半年に1回程度で診ていきます。

発達検査は書類の更新などにもよりますが、学習効果を考慮して1-2年はあけます。

風邪の診療のようにパッとみて終わるようなものではなく、なかなか大変な診療だと思います。心身症の先生が「割に合わないよね」というのも確かにそう。風邪の診療では診察・処方くらいで5分前後ですが、心身症外来はそういう訳にはいかず、それぞれの問題に対応しつつ、よい将来に向かうという目標を達成する必要があります。

人の成長にはピグマリオン効果とゴーレム効果というものがあり、期待だけで相手はなぜか成長し、期待しないだけでダメになります。発達の偏りがある場合は、期待をかけるポイントがズレたり、期待が大きすぎるとダメになるという難しさはありますが、上手くやる方法はあるはずです。

自分の実体験からいうと、奥さんの「がんばってみたら医者になれるかもしれないよ、3年待ってあげるから」という言葉が偏差値20の自閉傾向のある人間を医者にしてしまうことが現実に起こりえたのだから、きっとやる意味はあるんだろうと思います。

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