自閉症のこと
院長です。
発達症の診療をしていますか、という質問をよくいただきます。
「専門ではないので診療はしていませんが、専門病院への紹介はさせてもらっています」と回答させていただいています。どこに受診したらいいかわからないということで困っている方は多いようで、紹介だけでもして欲しいと来院されます。
さて、発達症のひとつに自閉症があります。
その定義は「他者との社会的関係の形成の困難さ、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする発達の障害」です。
自分にはこの定義が染み入るようにわかります。自分のことを考えると、まさにこれだと思うからです。今までの人生において友達は常に0~2人でいないのがふつう、集団での行動は基本的に避ける、コミュニケーションはとろうとしないし、興味がないことは心底どうでもいいと思ってしまう、というところがあります。
この生き方で困っているかと聞かれると、ちょっと困っている、という程度だと思います。
自分でも抗えないマイルール(こだわり)に「朝5時に起きる」というものがありますが、体力的にはしんどいけど、仕事に遅刻しないという点では役立ちます。「時間があれば何か勉強する」というマイルールもなかなか自分に負荷がかかりますが、今の職業には向いているように思います。自閉症の特性を利用して生きているところはあります。
一方、ADHD(多動症)の先輩医師は「自分のパフォーマンスが下がるから」という理由でADHDの薬は飲まないようにしているそうです。その先輩は毎日遅刻するような、社会人としての欠陥を抱えていますが、臨床医としての能力は高く、確かにそれを失うのはもったいないです。
特性を変更することはできませんので、時には療育や薬の力をかりつつ、活かす・受け入れるというのがポイントかもしれません。
